ミニマリズムに惹かれたわけとは

私がミニマリズムという概念を知ったのは5年くらい前だったけれど、その当時のミニマリストのイメージは何もない部屋で床に座って空き箱(?)かなにかを机がわりにして、三つ折りのマットレスみたいなものをソファにしている、みたいな偏ったものだった。

ベストセラーにもなった佐々木典士さんの「ぼくたちに、もうモノは必要ない。」によると、ミニマリストとは「自分にとって本当に必要なものがわかっている」人のことであると述べていた。

ということは、もしたくさんのものを所有していても、それら全てを使いこなし必要としていて無駄がなければ立派なミニマリストだということ。人というのは、意外とものを必要としないのでこういう人は実際には稀だとは思うけれど。

「禅」のコンセプトというのは私たち日本人の美意識に多かれ少なかれ影響を与えていると思う。日本庭園や、必要なもの以外何も置かれていない茶室など、その「空」がたっぷりとある空間の美しさには心をニュートラルにする説得力がある。

シュリー・マザー・テレサが遺した「モノ」は、着古した木綿のサリーとカーディガンと古ぼけた手提げ袋と擦り切れたサンダルだけだったそう。そして無所有をといたシュリー・マハートマー・ガンディーが亡くなった時、部屋にはなにもなかったという。強さと純粋さがなければそうそうできないことだと思う。

私は「マキシマリスト」ではないし、所有しているものもかなり少ないけれど「本当に自分にとって大切で必要なもの」という視点で見るとまだまだ減らせるものがある。夏前くらいから、本や衣類を選別し少しずつ減らしていて、かなりモノは減った。というのも私の所有物の多くは本だったので。衣類はもともと少なかったけれど、選別し必要でないものは全てチャリティーショップの寄付にまわした。

これはミニマリズムとは違うけれど、キッチンやバスルームの細々としたものの多くがプラスチック容器に入っている、あるいはプラスチック製。この気がつけば増えていく美しくないプラスチックを、必要なモノとそうでないものとに選別している。

必要なのはビオデルマ(クレンジングウォーター)のボトルとシャンプーのボトル、それとドライヤーと電動歯ブラシ。他にはデヴィッドのものは捨てるわけにはいかないのでプラスチック容器に入った消毒液がある。それ以外のオイル類(ヘアオイルやフェイスオイル)はガラス瓶に入っている。

キッチンはもう少しプラスチックの割合が増える。間に合わせで買った取っ手がプラスチックのハサミはまだ使えるし、ストーブ(ガスコンロ)に着火するライターもプラスチック。友達からもらったビーワックスのラップが1枚だけあって、とてもよかったので何枚か買い足そうと思う。

話が逸れたけれど、ポジティブ心理学のソニア・リュボミアスキーさんによると、人の幸福は50%が遺伝、10%が環境、40%が日々の行動だそう。多くの人は所有する家や車や家族構成や経済が含まれる「環境」こそが人を幸せにすると信じているのではないだろうか。

遺伝というのは容姿の美しさや持って生まれた才能のことではないらしく、人それぞれの幸せの基準値のことだそう。これは別の環境で育った一卵性双生児を対象にした研究結果があるそうだけれど、人それぞれダイエットをしても最終的に落ち着く基準値があるように、どんなに嬉しいこと、あるいは悲しいことがあってもいずれその人に基準値に落ち着くそう。

“あとは結婚さえできたら幸せになれる”とか“子供さえいたら私の人生はよくなる” あるいは “マイホームさえ手に入れば” と多くの人が「環境」が幸福に影響を与えると信じている。

最低限の安全と食事と住まいが確保できていれば、そうでない場合にくらべ幸せの値は劇的に高まるのは事実だけれど、ソニアさんは、環境は「最低限」の10%しか私たちの幸福に影響を与えないと主張している。

私たちが「~さえあれば幸せ」という思い込みが私たちにあるのは、それを手にした直後の気持ちしか私たちには想像ができないから。私たちはどんな環境にも慣れていく性質を持っているのでどんな豪邸に住んでも、高値なデザイナーズブランドに身を包んでも、それらを手にしている環境に「慣れて」いずれ「飽きる」。

自分に足りないのはお金や、物やだと思っている人が、宝くじに当たって大金持ちになってたくさんの物を買うことができるようになれば確かに人生が変わる。だけど「変わった人生」の3年後を想像することはできない。つまり3年の間にどれだけその生活に慣れて飽きているかを正確にはイメージできないのだ。

同じようにパートナーさえいれば幸せになれると思っている人が、実際に5年間パートナーと暮らした後の自分の気持ちを正確に想像できない。幸せは「なる」ものではなく、今この瞬間にあるものに感謝することで「感じる」ものだと佐々木さんは著書の中で伝えている。

自分に本当に必要なものとは何か?と問いかけ、物だけにかぎらず自分の周りのすべてを厳選して選別していくと10%の環境が大きく変わり、環境が変わることで幸福度の40%を占める日々の行動に影響を与えるのではないかと思う。そのことに気が付いてからミニマリズムという環境を変えていくアイデアに惹かれるようになった。

ミニマリズムもヨガや瞑想と同じく目的(ゴール)ではなく、手段(ツール)であり、どのように向き合い使いこなすかだと思う。

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